脳・心臓疾患の労災認定基準の改正について 〜概要(ポイント)〜
2022年01月26日 [情報]
業務による過重負荷を原因とする脳血管疾患及び虚血性心疾患等については、平成13年12月に改正した「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く)の認定基準(以下、旧基準という)」に基づき労災認定が行われてきましたが、改正から約20年が経過し、働き方の多様化や職場環境の変化が生じていることから、厚生労働省は「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」において、最新の医学的知見を踏まえて検証等を行い、その報告書を受けて、脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しました。
また、基準の題名も変更され、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準(以下、改正基準という)」として告示されました(令和3年9月14日付け基発0914第1号)。
なお、改正基準は令和3年9月15日より施行されています。
そこで、当該改正の概要(ポイント)について説明し、今後の企業対応の留意点について確認いたしましょう。
1.改正のポイント(厚労省HP資料1より)
●業務の過重性の評価
「長期間の過重業務」について
長期間の過重業務については、上記労働時間基準の水準には至らないけれども、これに近い時間外労働が認められ、これに加えて一定の労働時間以外の負荷が認められる場合には、業務と発症との関連性が強いと評価できることが明示されたわけです。
また、労働時間以外の負荷要因として、旧基準でも例示されていた労働時間以外の「負荷要因」に加えて、「休日のない連続勤務」、「勤務間インターバルが短い勤務」、「その他事業場外における移動を伴う業務」、「身体的負荷を伴う業務」が追加され、「精神的緊張を伴う業務」は「心理的負荷を伴う業務」へと内容が拡充されました。
労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮するにあたっては、労働時間がより長ければ労働時間以外の負荷要因がより小さくとも業務と発症との関連性が強い場合があり、また、労働時間以外の負荷要因による負荷がより大きければ又は多ければ労働時間がより短くとも業務と発症との関連性が強い場合があることになります。
「短期間の過重業務・異常な出来事」について
発症に近接した時期(発症前おおむね1週間)における業務による負荷判断については「短期間の過重業務」を評価して(「改正基準」第4の3)、負荷を受けてから24時間以内については、「異常な出来事」により(「改正基準」第4の4)、各々決定されますが、その内容については、上記例示(※2)も含め、下表のとおり例示、明確化されました。
業務と発症との関連性が強いと判断できる場合(厚労省HPリーフレットより)
2.今後の会社の対応
旧基準の下では、労働時間基準が過大に重視され、労災認定においても、同基準未達により過重性無しとされ、同時間基準をクリアできない場合には、容易には労災認定が認められない状況にありました。そのため、近年、精神障害の労災認定に比べて、脳・心臓疾患の労災認定については、労災申請や認定決定件数も減少傾向にありましたが、改正基準の施行により、今後は、脳・心臓疾患の労災認定がなされやすくなると考えられます。
ついては、以下の点につき、リスクを見据えた対応をいたしましょう。
時間外・休日労働による過重労働の防止
改正基準でも、基本的には労働時間基準が維持されています。できる限り、同基準でも起因性が少ないと考えられる月45時間以内に時間外・休日労働を抑制して、過重労働防止に努めましょう
労働時間以外の負荷要因の発生防止
労働時間基準に「近い時間外労働」があった場合に考慮(評価)される労働時間以外の負荷要因について、その発生防止に努めましょう
☆ 同基準の改正のポイントとしては、認定基準の対象疾病に「重篤な心不全」が追加されています。
☆ 同基準については、厚生労働省HPで確認できます。ご確認ください。
また、基準の題名も変更され、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準(以下、改正基準という)」として告示されました(令和3年9月14日付け基発0914第1号)。
なお、改正基準は令和3年9月15日より施行されています。
そこで、当該改正の概要(ポイント)について説明し、今後の企業対応の留意点について確認いたしましょう。
1.改正のポイント(厚労省HP資料1より)
●業務の過重性の評価
「長期間の過重業務」について
長期間の過重業務については、上記労働時間基準の水準には至らないけれども、これに近い時間外労働が認められ、これに加えて一定の労働時間以外の負荷が認められる場合には、業務と発症との関連性が強いと評価できることが明示されたわけです。
また、労働時間以外の負荷要因として、旧基準でも例示されていた労働時間以外の「負荷要因」に加えて、「休日のない連続勤務」、「勤務間インターバルが短い勤務」、「その他事業場外における移動を伴う業務」、「身体的負荷を伴う業務」が追加され、「精神的緊張を伴う業務」は「心理的負荷を伴う業務」へと内容が拡充されました。
労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮するにあたっては、労働時間がより長ければ労働時間以外の負荷要因がより小さくとも業務と発症との関連性が強い場合があり、また、労働時間以外の負荷要因による負荷がより大きければ又は多ければ労働時間がより短くとも業務と発症との関連性が強い場合があることになります。
「短期間の過重業務・異常な出来事」について
発症に近接した時期(発症前おおむね1週間)における業務による負荷判断については「短期間の過重業務」を評価して(「改正基準」第4の3)、負荷を受けてから24時間以内については、「異常な出来事」により(「改正基準」第4の4)、各々決定されますが、その内容については、上記例示(※2)も含め、下表のとおり例示、明確化されました。
業務と発症との関連性が強いと判断できる場合(厚労省HPリーフレットより)
2.今後の会社の対応
旧基準の下では、労働時間基準が過大に重視され、労災認定においても、同基準未達により過重性無しとされ、同時間基準をクリアできない場合には、容易には労災認定が認められない状況にありました。そのため、近年、精神障害の労災認定に比べて、脳・心臓疾患の労災認定については、労災申請や認定決定件数も減少傾向にありましたが、改正基準の施行により、今後は、脳・心臓疾患の労災認定がなされやすくなると考えられます。
ついては、以下の点につき、リスクを見据えた対応をいたしましょう。
時間外・休日労働による過重労働の防止
改正基準でも、基本的には労働時間基準が維持されています。できる限り、同基準でも起因性が少ないと考えられる月45時間以内に時間外・休日労働を抑制して、過重労働防止に努めましょう
労働時間以外の負荷要因の発生防止
労働時間基準に「近い時間外労働」があった場合に考慮(評価)される労働時間以外の負荷要因について、その発生防止に努めましょう
☆ 同基準の改正のポイントとしては、認定基準の対象疾病に「重篤な心不全」が追加されています。
☆ 同基準については、厚生労働省HPで確認できます。ご確認ください。