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事業主の皆さん、 年5日の年次有給休暇を確実に取得させていますか?

年次有給休暇に関する基本的なルールとは?
年5日の年次有給休暇の確実な取得とは?

 国が目指す「働き方改革」とは、働く人々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革のことです。
 「働き方改革」は、ここ数年のうちに、そのフレーズも内容も、随分と広く社会全体にゆき亘り、多くの企業で、年次有給休暇の年5日の時季指定をはじめ、時間外労働の上限規制を守るべく労働時間の把握に努めるなど、改革実現のため、さまざまな取り組みが行われてきています。
その一方で、近年の新型コロナ感染症拡大による経営環境の悪化など企業の諸事情、規模、業種によっては、「働き方改革」が思うように進まない企業もまだまだ存在するのではないでしょうか。
 しかしながら、法律は待ってくれません。最近では、愛知県・津島労働基準監督署で、労働者6人に対して年次有給休暇取得の時季指定を怠ったとして、給食管理業の会社と各事業場の責任者である店長3人が書類送検されるという事案が発生しています。
必ずしも、義務違反であるからと言って直ちに書類送検ということではありませんが、やはり、企業経営をする上では、関係諸法令に対する正しい理解と取組みは必要なのではないでしょうか。
 そこで、今回は、「働き方改革」実現のために行われた法改正の一つ、「年次有給休暇の時季指定義務」について、いまいちど、年休の基本的なルールとともに内容を解説し、事業主の皆さんの取り組みへの端緒としていただければと思います。

1.年次有給休暇 
働く人の心身のリフレッシュを図ることを目的として、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされています。

(1)年次有給休暇の発生要件
雇入れの日から6か月継続して雇われていること。
全労働日の8割以上を出勤していること。

(2)原則となる付与日数
・・・下表のとおり
● 使用者は、労働者が雇入れの日から6か月間継続勤務し、その6か月間の全労働日の8割以上を出勤した場合には、原則として10日の年次有給休暇を与えなければなりません。※対象労働者には、管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。
付与日数1
(3)パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者に対する付与日数
・・・下表のとおり
● 所定労働時間が週30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者については、年次有給休暇の日数は所定労働日数に応じて比例付与されます。
付与日数2
2.付与に関するルール 
(1)付与するタイミングは?
年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えること。
労働者が具体的な月日を指定した場合には、原則として、その日に年次有給休暇を与える必要があります。
※ ただし、使用者は、労働者から年次有給休暇を請求された時季に、年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合(同一期間に多数の労働者が休暇を希望したため、その全員に休暇を付与し難い場合等)には、他の時季に年次有給休暇の時季を変更することができます。

(2)年次有給休暇の繰り越し
年次有給休暇の請求権の時効は2年。
前年度に取得されなかった年次有給休暇は翌年度に与える必要があります。

(3)不利益取り扱いの禁止
使用者は、年次有給休暇を取得した労働者に対して、不利益な取扱いをしないようにしなければなりません。
具体的には、精皆勤手当や賞与の額の算定などに際して、年次有給休暇を取得した日を欠勤または欠勤に準じて取扱うなど、不利益な取扱いをしないようにしなければなりません。

3.年5日の年次有給休暇の時季指定義務とは?(2019年4月〜)
 年次有給休暇が10日以上付与される労働者を対象として、使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。

(1)時季指定の方法は?
取得時季について、労働者の意見を聴取、尊重するよう努めること
使用者は、時季指定にあたっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。また、できる限り、労働者の希望に沿った時季を指定するよう努めなければなりません。

(2)時季指定を要しない場合とは?
既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。
「使用者による時季指定」、「労働者自らの請求・取得」、「計画年休」のいずれかの方法で取得させた年次有給休暇の合計が5日に達した時点で、使用者からの時季指定をする必要はなくなります。

◆そのほか、休暇に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項(労働基準法第89条)であるため、使用者による年次有給休暇の時季指定を行う場合には、時季指定の対象となる労働者の範囲、時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければならないこと、年次有給休暇管理簿の作成、3年間の保存義務があること、年次有給休暇に関する義務違反については罰則規定があることなど、詳細は、厚生労働省ホームページ内、働き方改革特設サイト等で確認することができます。また、実務対応として、当該サイトでは、動画視聴をはじめ、各種リーフレット、参考資料等もダウンロード、入手することが可能ですので、ご確認ください。

わからない時は、必ず相談しましょう。最新の法令に沿った対応が会社は求められます。

厚生労働省 年次有給休暇取得促進特設サイト  
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/


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