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2024年06月14日 [日記]
「面接で聞いていた残業時間と違う」と訴える部下 どうしたらいい?
概要:私の所属する部署は、社内でも残業時間が多い部署です。先日、新しく入った中途社員の部下から「面接で聞いていた残業時間と違う、これほど働くなら入社していなかった」「残業を拒否したい」と申し出がありました。人事に確認すると、全社平均の残業時間のデータを伝えた可能性があるとのことでした。
こうした場合、どのように対応すべきなのでしょうか。部下の残業拒否は聞き入れるべきでしょうか。
A そもそも、面接を行った人事担当者が誤解を招くような内容、データを伝えたことに端を発していますから、まずは率直に、この部下に「面接では、全社平均の残業時間のデータを伝えてしまったため、伝えた時間を超える残業は発生しないものと誤解を招いてしまったようだが、実際には、各配属された部署で、業務上必要な残業時間が発生しうる」ということをあらためて丁寧に説明する必要があるのではないでしょうか。
もっとも、会社がこの部下だけでなく他の社員も含めて、社員に残業をさせることができるためには法的な要件があり、その要件を満たしていることが前提となります。
では、その要件とはどのような内容であるかをここで確認したいと思います。
・一つ目は、労使協定の締結と行政官庁への届出ということになります。
労使協定とは、いわゆる36協定といわれるもので、労働基準法36条で、「労使協定を締結し行政官庁へ届出た場合に限り、労働時間の延長と休日労働ができる」と定められています。
・二つ目は、個別の労働者に残業を命令することができるよう、労働契約上、残業を行う義務が設定されているということ、つまり、労働契約上の根拠が存在しているということです。
具体的には、就業規則や労働契約書などに、36協定の範囲内で、会社は時間外労働を命じることができる旨、規定されている必要があり、その就業規則が周知されている必要があります。
ただし、36協定を締結し、残業時間もその協定の範囲内であり、就業規則に残業命令の根拠規定があり周知をしているなど、適正な手続を踏んでいても、例えば、命令された社員に体調不良など正当な理由があったり、その残業が理由のない残業であったりする場合には、残業を拒否することは可能であると考えられますし、法律でも次のような事情がある場合には同様に残業を拒否することができるものと定められています。
・妊娠中あるいは産後1年を経過していない
・3歳未満の子を養育している
・小学校就学始期までの子の養育や、要介護状態にある家族を介護している
(1か月24時間、1年150時間を超える時間に限ります)
したがって、御社が「労働者に残業をさせることができる」ための要件を満たしているということを前提として、前述のとおり、まずは当該部下に、誤解を解く説明を丁寧に行ったうえで、あらためて業務上必要な残業を業務命令として行い、理解を求めるようにしてください。
それでも部下が、「面接で聴いていた残業時間を超える残業はできない」として、正当な理由なく残業拒否を続けるようであれば、それが社内規定による懲戒処分の対象となる場合には、処分も検討する必要が出てくるかもしれません。
あるいは、ご自身から退職を希望されるかもしれません。
結論は、この部下に、残業を拒否する正当な理由がない場合には、会社は、その申出・拒否を聞き入れる必要はないものと考えますが、誤解を招いた経緯等事情を丁寧に説明する義務はあり、誠実な姿勢が必要なのではないでしょうか。
こうした場合、どのように対応すべきなのでしょうか。部下の残業拒否は聞き入れるべきでしょうか。
A そもそも、面接を行った人事担当者が誤解を招くような内容、データを伝えたことに端を発していますから、まずは率直に、この部下に「面接では、全社平均の残業時間のデータを伝えてしまったため、伝えた時間を超える残業は発生しないものと誤解を招いてしまったようだが、実際には、各配属された部署で、業務上必要な残業時間が発生しうる」ということをあらためて丁寧に説明する必要があるのではないでしょうか。
もっとも、会社がこの部下だけでなく他の社員も含めて、社員に残業をさせることができるためには法的な要件があり、その要件を満たしていることが前提となります。
では、その要件とはどのような内容であるかをここで確認したいと思います。
・一つ目は、労使協定の締結と行政官庁への届出ということになります。
労使協定とは、いわゆる36協定といわれるもので、労働基準法36条で、「労使協定を締結し行政官庁へ届出た場合に限り、労働時間の延長と休日労働ができる」と定められています。
・二つ目は、個別の労働者に残業を命令することができるよう、労働契約上、残業を行う義務が設定されているということ、つまり、労働契約上の根拠が存在しているということです。
具体的には、就業規則や労働契約書などに、36協定の範囲内で、会社は時間外労働を命じることができる旨、規定されている必要があり、その就業規則が周知されている必要があります。
ただし、36協定を締結し、残業時間もその協定の範囲内であり、就業規則に残業命令の根拠規定があり周知をしているなど、適正な手続を踏んでいても、例えば、命令された社員に体調不良など正当な理由があったり、その残業が理由のない残業であったりする場合には、残業を拒否することは可能であると考えられますし、法律でも次のような事情がある場合には同様に残業を拒否することができるものと定められています。
・妊娠中あるいは産後1年を経過していない
・3歳未満の子を養育している
・小学校就学始期までの子の養育や、要介護状態にある家族を介護している
(1か月24時間、1年150時間を超える時間に限ります)
したがって、御社が「労働者に残業をさせることができる」ための要件を満たしているということを前提として、前述のとおり、まずは当該部下に、誤解を解く説明を丁寧に行ったうえで、あらためて業務上必要な残業を業務命令として行い、理解を求めるようにしてください。
それでも部下が、「面接で聴いていた残業時間を超える残業はできない」として、正当な理由なく残業拒否を続けるようであれば、それが社内規定による懲戒処分の対象となる場合には、処分も検討する必要が出てくるかもしれません。
あるいは、ご自身から退職を希望されるかもしれません。
結論は、この部下に、残業を拒否する正当な理由がない場合には、会社は、その申出・拒否を聞き入れる必要はないものと考えますが、誤解を招いた経緯等事情を丁寧に説明する義務はあり、誠実な姿勢が必要なのではないでしょうか。