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2023年06月23日 [労使間トラブル防止マメ知識]
勝手に深夜残業する社員 残業代は支払うべき?
概要:当社では午後10時以降の残業は原則的に禁止とし、やむを得ない場合は事前に上長に相談する運用にしています。
しかし、特定の社員が無断で午後10時以降の深夜残業を繰り返しています。仕事の成果物を見ても、あまり業務効率は良くなさそうです。
無断・無許可で繰り返される残業にも、残業代は支払わねばならないのでしょうか。また、何か有効な対策方法はありますか?
A ご相談の内容は、深夜残業については会社は原則禁止としており、やむを得ず行う場合には上長に相談すること、つまり許可制を運用しているため、上長の指示命令や許可のない無断で行う深夜残業については、使用者の指揮命令下にある労働時間には該当しないのだから残業代の支払義務はないのではないかという考えから出てきたものと思います。
お考えのとおり、労働者に義務づけられているのは、所定労働時間に労務を提供することですから、使用者の時間外労働命令があって初めて、深夜残業も含め所定労働時間外に労務を提供する義務が生じることになり、この命令や許可がない場合には、使用者の指揮命令下にある労働時間に該当しないと考えられ残業代も支払わなくても良いということになります。
しかしながら、この無断、無許可の深夜残業を繰り返しているということは、このことについて、上長や使用者が具体的に止めたり、注意指導をしていないということが考えられます。その場合には、この深夜残業について黙示的な残業命令があったものと判断される可能性があり、残業代の支払義務が生じます。裁判例では、【大阪地判H17.10.6】があり、会社の明示的な指示がなくても黙示的な命令があれば労働時間であると認定し、残業代請求が認められています。
一方で、本件相談では、特定の社員のみが無断・無許可の深夜残業を繰り返しているということですから、それ以外の他の社員については、会社の深夜残業についての運用が周知・徹底されているとも考えられます。例えば、深夜残業禁止について一般的な規定があるだけでなく、例えば、朝礼、会議、連絡メール、社内共有サーバー等のツールで、深夜残業禁止の旨とやむを得ず行う場合には上長に相談することや残務について役職者に引き継ぐ等の具体的な手続きを繰り返しアナウンスし、周知、徹底している場合には、特定社員による個々の裁量で行われた無断・無許可の深夜残業については、使用者の指揮命令下にある労働時間と評価されない可能性が高いとも考えられます。裁判例は、【東京高判H17.3.30】が参考となります。
以上より、本件相談については、無断、無許可で深夜残業することについて、上長や会社が具体的に止めたり注意指導をしていたかどうか、また、禁止命令およびやむを得ず深夜残業を行う場合の上長に相談する具体的な手続きについて、ある程度繰り返しアナウンスするなど周知、徹底していたかどうかにより、労働時間と認定されるかどうか、ひいては残業代の支払義務が生じるかどうかについて、判断が分かれるところかと思います。
最後に、無断、無許可の深夜残業をなくす方法としては、時には、抜き打ちで、深夜の時間帯に上長や管理者が現認することも有効であると思われます。
また、深夜残業を含め、そもそも時間外労働の削減の取組について、管理職の人事評価の項目に組み入れることが有効な方法として考えられます。そうすることで、管理職が社員一人ひとりの時間外労働を把握するだけでなく、時間外労働の削減や深夜残業の削減の取組を進めてゆくことに繋げている会社も多く出てきているところです。
しかし、特定の社員が無断で午後10時以降の深夜残業を繰り返しています。仕事の成果物を見ても、あまり業務効率は良くなさそうです。
無断・無許可で繰り返される残業にも、残業代は支払わねばならないのでしょうか。また、何か有効な対策方法はありますか?
A ご相談の内容は、深夜残業については会社は原則禁止としており、やむを得ず行う場合には上長に相談すること、つまり許可制を運用しているため、上長の指示命令や許可のない無断で行う深夜残業については、使用者の指揮命令下にある労働時間には該当しないのだから残業代の支払義務はないのではないかという考えから出てきたものと思います。
お考えのとおり、労働者に義務づけられているのは、所定労働時間に労務を提供することですから、使用者の時間外労働命令があって初めて、深夜残業も含め所定労働時間外に労務を提供する義務が生じることになり、この命令や許可がない場合には、使用者の指揮命令下にある労働時間に該当しないと考えられ残業代も支払わなくても良いということになります。
しかしながら、この無断、無許可の深夜残業を繰り返しているということは、このことについて、上長や使用者が具体的に止めたり、注意指導をしていないということが考えられます。その場合には、この深夜残業について黙示的な残業命令があったものと判断される可能性があり、残業代の支払義務が生じます。裁判例では、【大阪地判H17.10.6】があり、会社の明示的な指示がなくても黙示的な命令があれば労働時間であると認定し、残業代請求が認められています。
一方で、本件相談では、特定の社員のみが無断・無許可の深夜残業を繰り返しているということですから、それ以外の他の社員については、会社の深夜残業についての運用が周知・徹底されているとも考えられます。例えば、深夜残業禁止について一般的な規定があるだけでなく、例えば、朝礼、会議、連絡メール、社内共有サーバー等のツールで、深夜残業禁止の旨とやむを得ず行う場合には上長に相談することや残務について役職者に引き継ぐ等の具体的な手続きを繰り返しアナウンスし、周知、徹底している場合には、特定社員による個々の裁量で行われた無断・無許可の深夜残業については、使用者の指揮命令下にある労働時間と評価されない可能性が高いとも考えられます。裁判例は、【東京高判H17.3.30】が参考となります。
以上より、本件相談については、無断、無許可で深夜残業することについて、上長や会社が具体的に止めたり注意指導をしていたかどうか、また、禁止命令およびやむを得ず深夜残業を行う場合の上長に相談する具体的な手続きについて、ある程度繰り返しアナウンスするなど周知、徹底していたかどうかにより、労働時間と認定されるかどうか、ひいては残業代の支払義務が生じるかどうかについて、判断が分かれるところかと思います。
最後に、無断、無許可の深夜残業をなくす方法としては、時には、抜き打ちで、深夜の時間帯に上長や管理者が現認することも有効であると思われます。
また、深夜残業を含め、そもそも時間外労働の削減の取組について、管理職の人事評価の項目に組み入れることが有効な方法として考えられます。そうすることで、管理職が社員一人ひとりの時間外労働を把握するだけでなく、時間外労働の削減や深夜残業の削減の取組を進めてゆくことに繋げている会社も多く出てきているところです。