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2023年05月24日 [労使間トラブル防止マメ知識]
「成果は出している」と出社を拒否する営業社員 何らかのペナルティを与えるべきか?
Q:コロナ禍が落ち着いてきたため、私がマネジメントをしている営業チームでは、4月から週2回以上の出社を原則としています。しかし、メンバーの中に「成果は出している」として出社を拒む社員がいます。メンバー間のコミュニケーション強化や知見の共有のため、チームで顔を合わせる機会を作りたいのですが、その意図を伝えてもかたくなに出社してくれず、困っています。出社の強制や、出社しないことに対する何らかのペナルティを与えることはできるのでしょうか
A まずは、その社員がテレワークを実施するにあたり、そもそもどのような手続きを踏んで実施することになったのかを確認する必要があると思います。
例えば、コロナ渦中に採用された社員であって、就労開始時からもともと全ての就労についてテレワークを行うことを労働契約の内容としていたり、あるいはコロナ渦前から就労していたけれども、コロナ渦にあって、テレワーク導入の際に、全ての就労について就労場所を自宅もしくはそれに類する場所とする労働契約を締結したりしていた場合などは、コロナ渦が落ち着いたからと言って、週2回以上出社すること、つまり就労場所を週2回以上は会社にすることと命じるのは、労働契約の変更になるため、原則として、その社員本人の合意が必要となり強要はできないということになります。仮に、本人の合意を得ずに労働条件の変更を行おうとするなら、その社員の受ける不利益の程度等に照らして合理的なものと認められる就業規則の変更および周知によることが必要であるとされていますから、労働契約の変更が認められるのはなかなか難しいのではないかと思われます。
次に、テレワーク実施にあたり、就業規則を変更などして、就業規則に基づき導入した場合には、おそらく「テレワーク勤務を命じることができる(テレワーク勤務を解除することができる)定め」となっていると思われますから、それに沿って、テレワーク勤務も解除することになります。
また、テレワーク実施にあたり、業務命令の一つとして行った場合にも、業務命令で終了させることができると考えられます。
したがって、今回のご相談についても、大前提として、就業規則や業務命令に基づいてテレワークを行っていた場合の「テレワーク解除、出社命令に対して、出社を拒む社員に対する対応」について見てゆきたいと思います。
一般に、使用者(会社)は「業務遂行全般について労働者に対して必要な指示・命令をする権限」を持っています。そして、その一つ一つの業務命令について、就業規則の合理的な規定に基づく相当な命令であるのであれば、労働者はその命令に従う義務があります。
一方で、業務命令が必要制を欠く場合や、労働者が受忍できる限度を超え相当性を欠くような場合には、労働者はその業務命令に従う義務を負いません。
したがって、コロナが収束に向かったとは言え、感染の可能性が未だ懸念される下において、出社を拒否する社員に対して出社を命じる場合、具体的な状況に照らして、その業務命令に@必要制があるのか、A相当なものであるのかを検討する必要があります。
具体的な状況については、
⑴ 具体的な感染リスクの可能性
従事する業務の性質および内容、外部の者との接触機会の有無やその程度、事業所近隣地域での感染状況、職場内およびその周辺での感染状況、通勤での感染リスク等の諸事情を検討します
⑵ 会社の感染拡大防止策
⑶ 当該社員の健康状態など
⑴から⑶を総合的に考慮して、今回の相談にあるような出社命令が認められるのかについて見てゆきたいと思います。
●必要性については?
チームとして、メンバー間のコミュニケーションの強化を図るにはリアルな顔合わせの場(機会)が必要であるとして出社を求めており、具体的な必要制があったと考えられます。
なお、この場合には、「成果を出しているといないとに関わらず」必要制があると考えられます。
●相当性については?
・具体的な感染リスクの可能性
世界的な緊急事態宣言も終了したこと、国内でもコロナウイルス感染症を5類に引き下げられたことから、週2回程度の出社では、感染確率は高くないと考えられます。
・感染拡大防止に向けて会社が講じる策
今回の相談では、会社の具体策については不明ですが、一般的なマスクの着用や手洗い、消毒液の設置、使用奨励を行っていれば、一般的な感染防止対策としては問題ないと考えられます。
・当該社員の健康状態など
相談内容では、基礎疾患の有無については不明ですが、基礎疾患がなければ、死亡、重症化する恐れは低いと考えられます。
これらを総合的に考慮すると、この社員について出社を命じることは適法であり、拒否した場合には、業務命令違反に該当しますから、懲戒処分を講じることも可能と思われます。
具体的な、懲戒処分の内容については、就業規則に基づいて講じることが求められます。
なお、社員本人には、基礎疾患がなくとも、同居する家族に高齢者がいたり、基礎疾患を持っている者がいるなどの場合には、一定程度の配慮も必要かと思います。事前のヒアリングと労使間での十分な話し合いは、いずれにしてもトラブル防止の一番の良策と言えるのではないでしょうか。
A まずは、その社員がテレワークを実施するにあたり、そもそもどのような手続きを踏んで実施することになったのかを確認する必要があると思います。
例えば、コロナ渦中に採用された社員であって、就労開始時からもともと全ての就労についてテレワークを行うことを労働契約の内容としていたり、あるいはコロナ渦前から就労していたけれども、コロナ渦にあって、テレワーク導入の際に、全ての就労について就労場所を自宅もしくはそれに類する場所とする労働契約を締結したりしていた場合などは、コロナ渦が落ち着いたからと言って、週2回以上出社すること、つまり就労場所を週2回以上は会社にすることと命じるのは、労働契約の変更になるため、原則として、その社員本人の合意が必要となり強要はできないということになります。仮に、本人の合意を得ずに労働条件の変更を行おうとするなら、その社員の受ける不利益の程度等に照らして合理的なものと認められる就業規則の変更および周知によることが必要であるとされていますから、労働契約の変更が認められるのはなかなか難しいのではないかと思われます。
次に、テレワーク実施にあたり、就業規則を変更などして、就業規則に基づき導入した場合には、おそらく「テレワーク勤務を命じることができる(テレワーク勤務を解除することができる)定め」となっていると思われますから、それに沿って、テレワーク勤務も解除することになります。
また、テレワーク実施にあたり、業務命令の一つとして行った場合にも、業務命令で終了させることができると考えられます。
したがって、今回のご相談についても、大前提として、就業規則や業務命令に基づいてテレワークを行っていた場合の「テレワーク解除、出社命令に対して、出社を拒む社員に対する対応」について見てゆきたいと思います。
一般に、使用者(会社)は「業務遂行全般について労働者に対して必要な指示・命令をする権限」を持っています。そして、その一つ一つの業務命令について、就業規則の合理的な規定に基づく相当な命令であるのであれば、労働者はその命令に従う義務があります。
一方で、業務命令が必要制を欠く場合や、労働者が受忍できる限度を超え相当性を欠くような場合には、労働者はその業務命令に従う義務を負いません。
したがって、コロナが収束に向かったとは言え、感染の可能性が未だ懸念される下において、出社を拒否する社員に対して出社を命じる場合、具体的な状況に照らして、その業務命令に@必要制があるのか、A相当なものであるのかを検討する必要があります。
具体的な状況については、
⑴ 具体的な感染リスクの可能性
従事する業務の性質および内容、外部の者との接触機会の有無やその程度、事業所近隣地域での感染状況、職場内およびその周辺での感染状況、通勤での感染リスク等の諸事情を検討します
⑵ 会社の感染拡大防止策
⑶ 当該社員の健康状態など
⑴から⑶を総合的に考慮して、今回の相談にあるような出社命令が認められるのかについて見てゆきたいと思います。
●必要性については?
チームとして、メンバー間のコミュニケーションの強化を図るにはリアルな顔合わせの場(機会)が必要であるとして出社を求めており、具体的な必要制があったと考えられます。
なお、この場合には、「成果を出しているといないとに関わらず」必要制があると考えられます。
●相当性については?
・具体的な感染リスクの可能性
世界的な緊急事態宣言も終了したこと、国内でもコロナウイルス感染症を5類に引き下げられたことから、週2回程度の出社では、感染確率は高くないと考えられます。
・感染拡大防止に向けて会社が講じる策
今回の相談では、会社の具体策については不明ですが、一般的なマスクの着用や手洗い、消毒液の設置、使用奨励を行っていれば、一般的な感染防止対策としては問題ないと考えられます。
・当該社員の健康状態など
相談内容では、基礎疾患の有無については不明ですが、基礎疾患がなければ、死亡、重症化する恐れは低いと考えられます。
これらを総合的に考慮すると、この社員について出社を命じることは適法であり、拒否した場合には、業務命令違反に該当しますから、懲戒処分を講じることも可能と思われます。
具体的な、懲戒処分の内容については、就業規則に基づいて講じることが求められます。
なお、社員本人には、基礎疾患がなくとも、同居する家族に高齢者がいたり、基礎疾患を持っている者がいるなどの場合には、一定程度の配慮も必要かと思います。事前のヒアリングと労使間での十分な話し合いは、いずれにしてもトラブル防止の一番の良策と言えるのではないでしょうか。