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2023年07月28日 [情報]
ベンチャー企業の経営 残業代削減のために管理職を増やすのはアリなの?
概要:ベンチャー企業に勤務しています。当社はやたらと管理職のポジションが多いです。部長以上は残業代が付かないため、残業代を削減するためにポジションを増やしているのだと思います。中には、部下がいない部長もいます。こうした状況には問題はないのでしょうか?
A お勤めの会社では、「法律では、管理監督者は、労働時間や休憩、休日に関する規定の適用除外となっているため、割増賃金いわゆる残業代も支払われる必要がなく、そのため、我が社の管理職も管理監督者として、残業代について削減することができるのではないか、さらには、その管理職を増やすことで、もっと残業代を削減することができるのではないか」と考えているようですが、ご相談者が問題提起されているとおり、会社が単に残業代を削減するだけのためにポジションを増やしていた場合に、そのポジションに就く管理職者の実態が、法律上定義される「管理監督者」と一致していないということになれば、当然に、労働時間、休憩、休日に関する規定の適用を受けることになり、残業代も支払われなければならないという事態になります。
したがって、こちらの会社における管理職が、果たして、法律で言うところの「管理監督者」に該当するのかどうかということから検証する必要があろうかと思います。
まずは、労働時間、休憩、休日に関する規定が適用除外となる法律上の「管理監督者」について確認すると、一般的には、局長、部長、工場長等、労働条件の決定、その他の労務管理について、経営者と一体的な立場にある者の意を指すとされています。また、労働時間や休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有する者と考えられており、その判断にあたっては、職務の内容、責任と権限、勤務態様に着目して、職位の名称などにとらわれることなく、実態に基づき判断することが求められると考えられています。
さらに、管理監督者の判定にあたっては、上記の他に、賃金等の待遇面についても無視することができず、具体的には、基本給、役付手当等において、管理監督者の地位にふさわしい待遇がなされているかどうか、ボーナス等の一時金の支給率等についても、管理監督者以外の一般労働者に比べて優遇措置が講じられているかどうかも留意されます。
なお、部下が一人もいないとなると、部下に対する労務管理等の決定権について一定の裁量権を持っているということが言えないし、部門全体の統括的な立場にあることも難しいと考えられ、「管理監督者」には該当しないのではないかと判断しがちですが、部下が配置されていないような役職でも、本社の企画、調査等の部門に配置された専門職については、その処遇の程度等によっては、「管理監督者」と判断されることもありますから、一概に部下のいないことだけをもって「管理監督者」に該当しないとは言えないと思います。
ただし、こちらの会社では、管理職の数がやたらと多く、その中に部下のいない者もいるということですから、全従業員に占める管理監督者の割合は適正でないと考えられます。一方で、管理職ひとりひとりの職務の内容、責任と権限、勤務態様などについては、具体的な情報がなく、管理監督者であるかどうかの判断材料に乏しいのですが、そもそも、こちらの会社の、「管理監督者には残業代を支払わなくてすむから、管理監督者を増やして人件費を削減しよう」という発想は、管理監督者は賃金等の待遇面で管理監督者の地位にふさわしい待遇がなされていなければならないという法律上の判断基準から逸脱していると思います。
以上を踏まえると、ご相談者の会社の管理職に対する対応は問題があると言えそうですね。管理職が法律上の「管理監督者」に該当しないと判断され、これまで未払いであった残業代を請求されるリスクもある訳ですから、早急に、管理職と言われる者について、いまいちど一人ひとり実態に即して、「管理監督者」であるかどうかを判断し、適正な対応をされるようにしてください。
A お勤めの会社では、「法律では、管理監督者は、労働時間や休憩、休日に関する規定の適用除外となっているため、割増賃金いわゆる残業代も支払われる必要がなく、そのため、我が社の管理職も管理監督者として、残業代について削減することができるのではないか、さらには、その管理職を増やすことで、もっと残業代を削減することができるのではないか」と考えているようですが、ご相談者が問題提起されているとおり、会社が単に残業代を削減するだけのためにポジションを増やしていた場合に、そのポジションに就く管理職者の実態が、法律上定義される「管理監督者」と一致していないということになれば、当然に、労働時間、休憩、休日に関する規定の適用を受けることになり、残業代も支払われなければならないという事態になります。
したがって、こちらの会社における管理職が、果たして、法律で言うところの「管理監督者」に該当するのかどうかということから検証する必要があろうかと思います。
まずは、労働時間、休憩、休日に関する規定が適用除外となる法律上の「管理監督者」について確認すると、一般的には、局長、部長、工場長等、労働条件の決定、その他の労務管理について、経営者と一体的な立場にある者の意を指すとされています。また、労働時間や休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有する者と考えられており、その判断にあたっては、職務の内容、責任と権限、勤務態様に着目して、職位の名称などにとらわれることなく、実態に基づき判断することが求められると考えられています。
さらに、管理監督者の判定にあたっては、上記の他に、賃金等の待遇面についても無視することができず、具体的には、基本給、役付手当等において、管理監督者の地位にふさわしい待遇がなされているかどうか、ボーナス等の一時金の支給率等についても、管理監督者以外の一般労働者に比べて優遇措置が講じられているかどうかも留意されます。
なお、部下が一人もいないとなると、部下に対する労務管理等の決定権について一定の裁量権を持っているということが言えないし、部門全体の統括的な立場にあることも難しいと考えられ、「管理監督者」には該当しないのではないかと判断しがちですが、部下が配置されていないような役職でも、本社の企画、調査等の部門に配置された専門職については、その処遇の程度等によっては、「管理監督者」と判断されることもありますから、一概に部下のいないことだけをもって「管理監督者」に該当しないとは言えないと思います。
ただし、こちらの会社では、管理職の数がやたらと多く、その中に部下のいない者もいるということですから、全従業員に占める管理監督者の割合は適正でないと考えられます。一方で、管理職ひとりひとりの職務の内容、責任と権限、勤務態様などについては、具体的な情報がなく、管理監督者であるかどうかの判断材料に乏しいのですが、そもそも、こちらの会社の、「管理監督者には残業代を支払わなくてすむから、管理監督者を増やして人件費を削減しよう」という発想は、管理監督者は賃金等の待遇面で管理監督者の地位にふさわしい待遇がなされていなければならないという法律上の判断基準から逸脱していると思います。
以上を踏まえると、ご相談者の会社の管理職に対する対応は問題があると言えそうですね。管理職が法律上の「管理監督者」に該当しないと判断され、これまで未払いであった残業代を請求されるリスクもある訳ですから、早急に、管理職と言われる者について、いまいちど一人ひとり実態に即して、「管理監督者」であるかどうかを判断し、適正な対応をされるようにしてください。