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「一切対応しません」 つながらない権利を主張する部下とどう向き合う?

Q  営業部で管理職をしています。若手の部下が「勤務時間以外の電話・メールは一切見ません」といって、勤務時間の連絡を全く返してくれません。  社内だけでなく、クライアントからの連絡も返さないようで、「退勤後や休日であっても、仕方のない場合もあるのだからできる範囲で対応してほしい」と伝えると、「時間外労働だ」「ハラスメントだ」と反発されました。  自分の感覚では、休日に連絡を返すなんて当たり前のことなので、困惑しています。最近は「つながらない権利」も指摘されていますが、緊急時などはどうしても対応してくれないと、管理職である自分に負担が集中してしまいます。  どうやって指導していけばいいのでしょうか?

A ご相談の内容だけでは、どのような業種の営業なのか、具体的な業務内容などが判らないため、そもそも、本件の勤務時間外の電話やメールの緊急性や業務上の必要性の有無、またその程度についても明確には判断できませんが、一般的な営業職は緊急救命やライフラインに関わる業務ではないと考えられるため、本件若手社員も勤務時間以外の電話やメールについて、翌営業日や勤務時間開始後に対応したとしても、本来の業務に支障が出ることはあまり考えられないと思います。
もっとも、「会社やクライアントから連絡が来たら勤務時間外でも応答する」ということが会社内で当然のこととして、脈々と受け継がれてきた場合などは、会社や上司からの心証は悪くなるという可能性はあります。
だからと言って、本来業務に支障が出るわけではないのであれば、当該若手社員の「勤務時間以外の電話・メールは一切見ません」という主張は、原則、何ら問題はなく当然の主張と言えるのではないでしょうか。
 「休日の連絡を返すなんて当たり前」という考えは、ご相談者も仰っているように、ご自身の感覚であり、合理性のない自身の感覚や考えを部下に当然として求めるのは、大変危険な行為でもあります。 
「連絡を返す緊急性もなく、返さなくとも業務に支障が出ないにもかかわらず、退勤後でも休日でも、とにかく対応すべき」という考え方が、サービス残業、ひいては長時間労働を助長する可能性があり、現代社会では、旧態依然の悪しき慣習であるとも考えられるからです。
一方で、そうは言っても、本当に緊急を要する仕事上の連絡・対応なども有り得ます。
また、社内はともかく、クライアントに対しては、対応いかんでは会社の信頼関係、業績に関わってくるということとなると、勤務時間外の迅速な対応も求められるでしょう。
要は、勤務時間外であっても、会社やクライアントからの連絡には、何でもかんでも対応するよう部下に求めるというのではなく、対応しなければ本当に業務に支障が出る場合に限って、対応することを業務の一環として命令すること、そして、対応してもらった場合には、それに見合った労働の対価を支払うようにすることが肝要ではないでしょうか。
なお、あらかじめ就業規則などにも、その必要性や時間外労働の申請などの具体的な方法についても定めておき、当該労働時間の管理を会社がしっかりと行うようにすることも肝要です。


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